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「日本人のアイデンティティ持つ国際人を育てる㊥」週刊教育資料

メディア掲載 2016.01.18

外国人の教員を採用
LCA国際小学校やその附属の幼稚園(プリスクール)を運営する前に実施していた英会話教室では、英語を母国語とする外国人の教員を採用した。この 効果は大きく、幼稚園でも英語を聴き取る力だけでなく、年少 から年長になる3年間で、遊び の中で何時間でも英語で発話で きる子供が育っていった。

特に、外国人の教員は英語の発音だけ でなく、「人とは違う自分らしさ」を主張する姿勢を当然のこととして指導しているため、子供たちも他の子供と同じ意見を 言うことはほとんどなくなり、自分の考えや感じ方を伝えるのがあたり前になっていった。
 
ただ、このような子供たちも卒園して公立の小学校に入ると、「皆と同じ」であることに価値 を置きがちな生活に戻ってしまうことがあったため、保護者からの「寺子屋でよいので、卒園後も楽しく英語を学んで使える場を作ってほしい」という声もあり、「小学校」を立ち上げることにつながっていった。2005年に1500平方メートルほどの「土地」と2階建ての「校舎」 500平方メートルを貸してくれる地主さんの協力で、無認可の英語の「小学校」の活動をスタートすることができた。
 
しかし、実際に始めてみると就学義務違反であるとか、無認可のために「学割」などもとれないなどの制約が大きかったため「特区制度」を活用することとなった。3年ほどかかったが2008年に「認可」を受けて、 株式会社が運営する私立小学校(一条校)としてスタートすることになる。

スタッフ確保の難しさ
正式な小学校となっても、志を同じくするスタッフ(教職員)を確保するのは簡単なことではなかった。本校では教科の指導を英語で行うだけでなく、「塾に行かなくても中学校受験 ができる」ように、私立中受験にも対応できるレベルの指導にも力を入れているが、教員スタッフの募集で、対応する免許を持った教職経験者は、「塾」のような指導になじみがなかったり、それ以外の経験者の場合は学級経営に難点があったりと、本校が目指している教育を実践できる教員の確保はなかなか難しかった。
 
日本人スタッフだけでなく全体の6割程度を占めている外国人のスタッフも同様で、これまでインターナショナルスクールなどで働いていた経験のある教員にとって、日本の学校ではあたり前な「子供と一緒に給食 を食べる」ことや、算数の指導なども、日本の指導法で教えることを求められるのはハードルが高いのである。
 
実際、採用しても次の年には多くの教員が入れ替わる状態もあったが、数年前から試行錯誤を経て、ようやく安定したスタッフが定着するようになり、学校全体が一つの方向性に沿って動いていくようになった。
 
本校のような教育理念を、建前ではなく深いところで理解して、日々の教科指導や学級経営で実践するには、校長としての私の信念や思いを担任に伝えていく教務主任やリーダー層の役割も重要になる。ハイパーイマージョン教育や高度な教科指導、体験型の学校行事なども含めて、他の学校では見られない新しい教育形態を追求している本校が、日本人と外国人のスタッフが共に一つの理念に向かって協働していく体制にしていくためには、絶えず学校運営での工夫が必要と感じている。

開校当初の保護者に支えられ
本校のスタッフの人材確保の 苦労とは別に、まだ校舎もなく開校前に入学者を募集していたころ、本校の教育理念を支持してくれて自分の子供を入学させたいと判断してくれた保護者の熱い思いに、なんとか応えたいと学校経営を進めてきた。 開校当初は、いろいろと風あたりも強く設備もスタッフも不十分な中で想像を超えた苦労もあった。
 
開校時に入学をしたほとんどの子供を卒業させられたのは、本校の教育理念を信じていただいた保護者の方のおかげである。

再就職のスタッフが活躍
私は、校長であると同時に株式会社エル・シー・エーの代表取締役でもある。公立小学校での教員経験はあるものの、校長や社長としての経験のないまま私立小学校と会社の経営を行うこととなったため、人事管理などのノウハウはまったくなかった。ただ、自分が目指す理 想の教育への情熱と楽しい学 校生活づくりへの自信はあった。

このような自分を支えてくれるスタッフに、ある人の紹介で公務員を定年退職した人が再就職 してきた。私は当初その方にやってほしい仕事を特に指示しなかった。すると、その方は自分で仕事を見つけてばりばりと仕事をするようになった。
 
実は、私と同世代かそれ以上の再就職者が数人いるが、全員私が目指す理想の教育や楽しい学校生活づくりについて、特に説明をしなくても共感してくれて、自らその実現のための仕事を見つけて動いてくれている。共通しているのは「自分は諦め ていたが、こんな教育を本当はやりたかった」という思いで、それを実現することが生きがいになっていることだ。

そういう方たちが、私が校長として特に指示をしなくても、どんどん自 主的に、私と同じ思いで動いてくれる。しかも、自分の考えで実践していくので楽しいという雰囲気が周りにも伝わってくるのである。そのことが学校経営の視点から見てもとってもよい刺激になっている。

調整できる力が大切
本校では、語学ができて自分の考えをしっかり主張できることを重視しているが、互いの主張を理解した上で、ではどのように解決していくか、調整していくかを考えていくことも大切にしてきた。これは、子供たちの教育だけでなく、日本人や外国人のスタッフの間でも大切なことである。日本人は自分の主張という点では外国人ほどではないものの、「調整」していく力は高いように感じている。
 
本校では、子供たちへの指導では、この「調整」に関連して「まず自分の気持ちを伝える」 ように指導している。「自分は 嫌だ」などの気持ちを相手に伝え互いの気持ちを理解し合った上で、「ではどうしたらよい か」を考えると、比較的スムー スに解決策が出てくることがある。この気持ちを無視して論理性や整合性だけで「調整」 をしてしまうとうまく行かな いことがある。
 
これからの国際化が進む時代は、この「調整」の能力が特に必要になる。本校でも、子供たちが「調整」する力を付けるためには、まず教師自身がその力を付けていくことが必要と考えている。

子供の良さを親に伝える
保護者との信頼関係を高めることは、どのような学校においても重要なことだが、本校では成績表などに担任教師がおざなりの「コメント」をする欄を廃止し、その代わりに担任以外の教員スタッフなどが見つけた、その子供の「良い所」を記述する欄を設けて、保護者に伝えるようにしている。

子供の悪い点はすぐに気付くけれども、子供の良い所は担任ひとりだけ では目が行き届かないことが少なくない。しかし、同僚も含めて教師集団として、その子供を見守る目を持つことで担任が気付かない、その子供の良さの発見につながる。また、その事実を保護者にしっかりと伝えることで学校への信頼感も高まるのである。
 
もう一つ、校長として私が重視しているのが、保護者への年3〜4回のレクチャーである。 本校は一般の公立小学校とは異なる教育内容であるため、そのことと本校として目指している教育理念については、校長として保護者にしっかりと伝える場を設けるようにしている。その際に、先ほどの自分の気持ちを伝え合って「調整」していく本校のやり方について説明して、家庭でも学校と同じようなやり方を試みていただくようにお願 いしている。

なお、附属のプリ スクール(幼稚園)でも同じようなレクチャーをしているが、 最近、保護者の申し出で茶話会形式にしたところとても好評 だった。一方的な説明でなく、 保護者も自分の思いを気易く語 れる場を求めていることが分かった。

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出典:教育公論社/『週刊教育資料』2016年1月18日号

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