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「日本人のアイデンティティ持つ国際人を育てる㊤」週刊教育資料

メディア掲載 2016.01.04

私塾を開設したのが出発点
 1985年にそれまで勤務していた神奈川県相模原市の小学校を退職し、「一人ひとりの児童とのコミュニケーションを大切にする」理想の教育を実現したいという思いで、私塾「LCA」(Language,Culture,Activities)を設立した。その後、英会話スクール、幼児教室の開設を経て、2000年4月にはインターナショナルプリスクールを開設し、2005年にインターナショナル小学部を設立した。

2008年にはLCA国際小学校が構造改革特区制度を活用した小学校として認可され、本格的にバイリンガルを育成する全国で唯一の小学校となり、外国人教師をクラス担任に配置したり、副校長や教務主任に外国人を抜擢してきた。私塾を開設した当時は4人だった子どもの数も、現在では640人を超える規模となっている。

公立小学校の教員をしていたころ、子どもたちに「夏休みにやってみたいこと」を尋ねてもほとんど返事がなく、「やれと言われていること」「やらなくてはならないこと」しか出てこなかったことにショックを受けたことがある。私塾を設立したのも、「自分がやりたいことをきちんと言える子ども」を育てたいという思いが強かった。

しかし、やりたいことを言うためには、その体験があることが欠かせない。そこで、勉強の指導とは別に、当時の私自身が好きだった、釣りやスキー、キャンプ、サイクリングの体験を土・日や長期休業日などに行ってきた。まず教師が自分で楽しかった体験を夢中に子どもたちに伝えていくことで、子どもたちも「やりたい」ことが増えていくのである。

相模原市から山梨県の山中湖まで、自転車で往復できたよ、と話すと子どもたちからも「自分もやってみたい」という声が上がり、実際に挑戦して、やり遂げるなど、子どもたちも大きく成長することができた。

英語を使う環境の必要性痛感
このような体験的な学びを通して、自分がやりたいことを言えるようになった子どもが育ったが、あるとき、アメリカの知り合いに協力してもらって、現地で釣りやキャンプをする機会があった。ところが、やっていることは日本の時と同じでも、ホームステイしている時に、ほとんど子どもたちは英語がしゃべれなかった。

そこで、実際にしゃべれる英語を身に付けるには、楽しく学べる環境づくりが必要と考えて、自分で英会話学校を立ち上げた。自分自身は英会話もほとんどできなかったが、外国人の教師を使って、楽しく英語を学ぶ環境づくりや指導法には自信を持っていたからである。自分が得意ではない英語で、学校まで作ろうと決断したことが、私の人生の中で、大きなターニングポイントになった。

しかし、教室で英語を学んでも、子どもたちは次の日にはその英語を使っていないので忘れてしまう。10年間近い英会話学校の活動を通して、継続的に、日常的に英語を使う環境が必要なことを痛感した。そこで、「授業を英語でやったらどうだろうか」と考えて、無認可だが、小学校教育を英語で行う学校を作ろうと決意した。

行政と相談しても、なかなか応援してもらえなかったが、ちょうど、小泉内閣のころで教育特区の申請ができることを知って挑戦したことが、今日のLCA国際小学校の正式な認可につながった。

国語の授業は日本語で
子どもをバイリンガルに育てるには、子どもたちが英語を使わなくてはならない状況を作り出す必要がある。そのために最も効果的な手段として、学校生活の大半を英語によるコミュニケーションのもとで過ごすイマージョン教育を実施してきた。最近は、さらにこの方法を改良して、効果的に指導をしながら英語に浸す「ハイパーイマージョン教育」という新しい指導法を開発した。

LCA国際小学校は文部科学省の認可を受けた株式会社が開設した私立小学校(一条校)で、教科指導も学習指導要領に準拠して行っているが、その一方で検定教科書のレベルを超えた高い学力の習得も目指している。1年生から5年生までのクラス担任は英語スピーカーであり、ホームルームや給食の時間など学校生活の基本は主に英語で行っている。

教科指導では、国語については日本語で行っているが(他に、高学年の社会、算数と理科の一部)、低学年では教科指導時間の約8割、高学年では約5割を英語で、残りを日本語で行っている。

一学級を約20人の少人数にとどめて、一人ひとりの子どものレベルに合わせたきめ細かい指導で楽しい授業づくりに力を入れてきた。心の教育では、自分の気持ちを上手に表現したり、他人の気持ちを思いやることができる高いコミュニケーション能力を育てるため、校長、副校長、教務主任、養護教諭や専科教師も協力してサポートにあたっている。

LCAの教育理念
◯将来、社会の一員として、自分の個性を生かし社会に貢献できる人間の育成を目指す
◯日本語と英語を自由に使いこなし、良好なコミュニケーションをとりながら、世界を舞台に活躍できる人間の育成を目指す
◯生きることの素晴らしさを知った人間の育成を目指す

こうしたLCAの教育理念を踏まえて、「生きる喜び」を伝えるため自然や芸術との触れ合いの機会を継続的に取り入れたり、キャンプ、釣り、登山、スキーなどを自然の中で体験することによって、その大切さや素晴らしさ、厳しさを知り、生きる力に発展させる活動にも力を入れてきた。

なお、1日の流れ(表1)と1週間の授業時数(表2)について示している。「プレップタイム」とは、1日をスタートさせるにあたり、学習の準備や身の回りの整理をするために設けており、余った時間は自由な学習や読書に使っている。

「クワイエットタイム」は心の準備をするための時間、「フルーツブレーク&リセス」は、家から持参したスナックを食べる時間、「エンリッチメント」は、個別指導を行うための時間、クラスごとに設定された課題を自習する時間にもなる。

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放課後のプログラム
希望者向けに放課後の7校時目と8校時目(15時50分〜17時25分)に「AS(アフタースクール)」と「SL(スペシャルレッスン)」のプログラムを用意している。ASは1〜3年生の希望者を対象に、英語と日本語をバランス良く配置し、さまざまなアクティビティを英語で楽しみながら、英語のコミュニケーション力を高める時間。提携するスポーツクラブの体操教室、サッカー教室のほか、宿題に取り組む時間も設けている。

SLは4〜6年生の希望者を対象に、中学校受験対策の授業や英語力をさらにアップさせるための授業などがある。

次回は、学校運営や教師の成長についての取り組みなどについて紹介する。

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CA国際小学校の校舎

news_160419_face山口紀生 Norio Yamaguchi
LCA国際小学校校長

1953年生まれ。横浜国立大学卒業後、公立小学校の教員に。1985年に退職し、子どもが生き生きできる教育を目指して、釣りやキャンプ、登山など達成感のある遊びも教える私塾「LCA」を設立。その後、英会話学校や幼児教室を開設。2000年、すべて英語で指導する幼稚園「LCAインターナショナルプリスクール」を開園。2005年にLCAインターナショナルスクール小学部を設立。小学部は2008年4月に国(文部科学省)から正式な認可を受け「LCA国際小学校」に。

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出典:教育公論社『週刊教育資料』2016年1月4・11日号
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