学園長ブログ
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再び 読解力について
今回は読解力について、少しお話しします。
私自身は読解力については長い間劣等感を持っていました。それは国語の試験、特に選択式で解答する試験で点数が取れなかったからです。本当に必要な読解力とは何なのか。そして読解力を伸ばすためにはどうすれば良いのか、本当に長い間考え続けています。
豊かに生きていくために必要な読解力とは、文章を読んだ時に書き手が伝えたかったことを受け取る力、話し手が伝えたかった内容をしっかり受け止める力だと思います。
ただ、読んだり、聞いたりしているだけでは、きちんと受け止められているかどうかが分かりません。どうしたらわかるでしょうか。
本当は文章の内容や話の中身を自分の言葉で短く表現できるかどうかで分かります。ところが、学校の試験や入学試験ではそれでは採点に時間がかかりすぎるし、採点者によって差がでる可能性があるので、特に日本では選択式で答える方法がとられてきました。
選択式は合理的ではありますが、自動車の運転免許試験のように、わざと間違えさせるために引っ掛けの問題が作られたりします。
これが曲者で、私の劣等感の元凶です。すごく一般的に物事を受け止められる人には当たり前に見える答えも、考え方があまりにも個性的で、人と違っている人には、こういう考え方もあるし、またこうも考えられると、考えすぎてしまい結局間違ってしまうことがあるのです。問題なく正解を答えられる、いわゆる「優等生」には理解できない世界でしょう。
私の劣等感の話はともかく、問題を元にもどしましょう。
本当に必要な読解力は、話の要約を自分の言葉でできることで養えます。
文章の要約、だれかの話の要約、見てきた映画の要約、今日の理科の授業の要約、そんなことを自分の言葉で表現できれば、生きていくために必要な読解力はつけられるはずです。
もちろん、その過程で言葉の意味を調べたり、適切に表現できる言葉を探したりする必要はあります。そうすると、自然に語彙力も上がりますね。
受験問題は誰かを不合格にするためにあります。間違えやすく作られた問題もあります。
そこで、LCAでは、受験のための読解力は受験が迫ってきた終盤にして、それまでは生きていくために必要な、本来の力をつけるようにしたいと思っています。
要約は日常の生活でも活用できますね。映画や演劇を見た時はもちろん、学校の授業の様子をお父様、お母さまに伝えられたら、授業の復習にもなり一石二鳥です。
お分かりの通り、では明日から早速と思ってもそう簡単にいかないのはご想像の通りです。なんとなく子どもに気づかれないように、聞いてみるようにしないといけません。
低学年のうちのほうがやりやすいでしょうね。
朝日小学生新聞に「天声こども語」という欄があります。この文章の要約を続けているという小学生が新聞に載っていました。これを見たLCAの子が、僕もやっているのにどうして載らないの、と聞いてきました。今度応募してみようねと答えましたが、新聞に載らなくても、一生の宝物を身に着けているよと伝えたかったです。その時は間に合わなかったのですが。
LCAでも3・4年生は「天声こども語」の書きうつしや要約を取り入れています。
このように、本物の読解力を磨いていき、受験が近づいた時に受験用の解答の仕方を学ぶほうが、結果にも結びつくのではないでしょうか。
私自身は読解力がないという劣等感を試験の問題を解くことで乗り越えようとしてきましたが、どこかスッキリしないところがありました。受験という現実を踏まえながらも本来の読解力をしっかりつけてから受験にも対応できるようにするということが、教師たちとも話し合いを続ける中で見えてきました。
そのほかに、見たこと作文、感想文パレットを使った読書感想分、エッセイ(エッセイのテンプレートは近々アップ)の書き方などを通して、子どもたちの読解力をつけていきます。
ご家庭でも「要約」をキーワードに、工夫して取り組んでいただけるとよいと思います。
2021年1月2日のブログ「国語の受験問題を解けることが読解力だと思っていると・・・」
1月6日ブログ「AI vs. 教科書を読めない子どもたち」を参照してください。