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学園長ブログ

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高田健司くんの作文から

2013.05.31

見たことを書いていくとどんな作文ができるのかを例をとってみてみましょう。次の作文は高田健司くんが小学校3年生の時に書いたものです。見たこと作文指導の初期の作文です。

つりのこと

木くずをみやしていた工場から灰色のけむりがすこしでていた。動物がいっぱいいそうだと思った。

今日のじゅぎょうは1時間目から6時間目までずっと釣りだ。

早戸川についた。岩や木でできた橋があった。川はあさそうでもあり、深そうだった。緑や白や色々な色の水だった。

石のところに行って釣りをした。川の真ん中へんに、こげ茶色の小さな魚がすいすい泳いでいるのが見えた。二匹目に見えた魚は元気よく、上流や下流に動き回っていた。釣りのしかけを上流のほうにいれた。川の中でえさのイクラが下流のほうに流されて、魚の血のかたまりのように見えた。

えさのイクラがパッと消えた。すぐに引き上げたけど強く引っ張りすぎて下流のほうへ魚がとんでいってしまった。逃げられた。おしかった。

えさを変えた。体が白く、頭が茶色いぶどう虫にした。最初は死んだようだった。ハリをさしたらモゾモゾうごいてハリをはずそうとしていた。

しかけを上流にいれた。小さい虫が水の中に見えた。10秒ぐらいで魚がつれた。魚がピチピチしていた。アミですくった。魚の口の中にハリがブスッとささっているのが見えた。えらから人間と同じ赤い血がでてきた。もう少し早く釣ってあげれば口だけにハリがささっていたかもしれない。

魚をさばきに台所の流しのようなところに行った。目がパッチリしている魚をさわったら、魚はツルツルヌメヌメしていた。先生がここだよと言った、おしりの穴からアゴの所までゴキゴキ切った。血がドロドロでてきた。内蔵がでてきた。先生が「これが心臓だよ」と教えてくれた。ドクドク動いていた。内蔵はプニョプニョしていた。強く持ちすぎたらつぶれて中からおののような形の葉っぱや小さな木の枝がでてきた。内蔵を流しにおしつけて、魚を引っぱった。ツルンとすべって何回もしないととれなかった。魚の背中にまだ黒いかたまりが線のように見えた。まわりはガリガリしていた。頭をつかんでウロコをとって完成。

手に塩をつけて魚にまぶした。手は塩でざらざらしていた。魚は真っ白けになった。たき火をしたアミの上に魚をおいた。あつくていっしゅんやけどをしそうになった。塩が少しずつみえなくなってきた。魚にしみついていると思った。皮は黒くなっていた。食べたら少し塩からかったので、ご飯といっしょに食べた。おいしかった。

帰りは友だちといろいろな話をしながら帰った。

どうですか?生き生きした表現がたくさんありますね。特に私は書き出しの文章が気に入っています。小説の書き出しのようで、これから何が始まるんだろうと、ワクワクしますね。

また、釣りばりが魚の喉の奥にささっているのを見て、もっと早く合わせて釣りあげていれば、口にハリが刺さったのにと、魚が痛くてかわいそうだという気持ちが現れています。「かわいそう」という言葉を使わずに「見たこと」を書くことで、気持ちが読み取れるのです。

作文が苦手と思っている子は、何を書いたらいいか分からないから苦手だと思っていることが多いのですが、「見たこと作文」は見たことを書くので、書くことに困らないのです。気持ちを聞くと「楽しかった」「かわいそうだった」という味けのない表現になってしまいますね。

「見たこと作文」は、ちょっとしたコツを掴めば、誰にでも絶対に書ける方法なのです。

上記の作文と書き方は「親子作文ワーク」に載っています。