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学園長ブログ

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そうだったのか「ドラえもん」

2012.06.17

読売新聞の「ウの目鷹の目」の中で、文化部次長の鵜飼哲夫さんが、ドラえもんのことを書いていた。
主人公の野比のび太は、ガキ大将のジャイアンにいじめられ、スネ夫にバカにされ、ママには「宿題やりなさい」と叱られる、ちょっと頼りない泣き虫くんで、一生懸命のんびりすることが大好き。困ったことがあると、「ドラえも~ん、なんとかしてえ!」と泣きつき、「四次元ポケット」から「ひみつ道具」を出してもらう。それで急場をしのぐが、未来便利道具には困ったことがつきもの。誰でも簡単に感動的文章が書ける「もはん手紙ペン」を使って、しずかちゃんに手紙を出すと、効果てきめん、デートにこぎつけるが、手紙ほど本人は面白くないとフラれてしまう。
「人生やりなおし機」では、小学4年ののび太は知能や体力が今のまま、4歳の戻り、天才と騒がれ、いい気になる。だが、一向に勉強せず、結局4年生になると、ママに「また0点とったんでしょ」とガミガミ怒られる・・・・。単純だが奥が深いのである。と。
そして極めつけはこれだ。ぞっとする名作もあると前置きして・・・
タイトルは「どくさいスイッチ」。スイッチを押して、「あんなやつ、消えろ!」と叫ぶと、その人が、はじめからこの世に存在していなかったことになるという、未来の独裁者がつくった恐ろしい道具なのだ。はじめは使うことをためらっていたのび太だが、野球に負けたのは「おまえのせいだ」と何度もバットで殴るじゃいあんを、ついカッとなり消してしまう。しかし、ジャイアンがいなくなった世界ではスネ夫から、スネ夫が消えた後の世界では別の友達から「負けたのはきみのせいだぞ」と責められる・・・・・。一向に努力せず、野球が下手なのび太が責められる状況は変わらないのだ。思いあまってみんなでよってたかってぼくのことを。だれもかも消えちまえ」と叫んでしまう。そして世界中から人がいなくなる。
得たのは、何をしてもいい自由と、食事をする相手も、遊ぶ相手もいない毎日だ。独裁者は孤独なのである。
最後は「ひとりでなんて生きていけない」と泣くのび太の前にドラえもんが登場し、「じつはこれ独裁者をこらしめるための発明だったんだ。」と種を明かし、世界は元に戻る。ラストシーンでは、ジャイアンに「こんどはなぐられないようにがんばれよ、へたくそ」とからかわれながら野球の練習をするのび太は、嬉しそうにそう思う。
「まわりがうるさいってことは、楽しいね」と。
ドラえもんの誕生日は2112年の9月3日、今年は誕生100年前ということで、筆者がドラえもんの作者である藤子不二雄さんこそ人を思う真の優者であったと評した文章だったが、特に「どくさいスイッチ」は今のこども達がかかえる問題を分かりやすく書いていて奥が深いと改めて思った。
「人は人の中でしか育たない」という言葉が頭に浮かんだ。